おくちでわかる、介護の兆し ― 歯科検診で「オーラルフレイル」を早期発見
ふくらはぎは第二の心臓
食べることは生きること
年齢を重ねると、外出の機会が減って歩く機会も減ったために「第二の心臓」の活躍の機会が減ってしまったり、人と一緒に話をしながら食事をする機会も減ったことにより、食べることが以前よりも楽しくなくなってしまった、という方もいらっしゃるかもしれません。機会が減ると、口や体の機能は知らず知らずのうちに衰えやすくなります。
特に高齢の方にとっては、歩くことと食べることは健康を維持するためにはとても重要な要素であり、離れて暮らしていると小さな変化に気づきにくいこととも相まって、不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
今回は、そんな方のために「介護」の兆しに早めに気づき、手を打つためのひとつの方法についてご紹介させていただきます。
目 次
1)介護は予防できるのでしょうか?
2)「フレイル」の兆候をどうやってつかむ?
3)離れて暮らすからこそ第三者の力を借りる
1)介護は予防できるのでしょうか?
突然始まる「介護」ではありますが、予防できるならば予防したいと思いませんか?
「介護」が必要になる要因は次の通りといわれており、中には生活習慣病と密接な関係のある疾病が原因となっていることもありますので、健康管理が予防につながることもあります。
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気づいたときに始まる
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事故や病気で突然始まる
(出典:内閣府「高齢者白書」より当社作成)
「フレイル」という言葉をお聞きになったことがありますでしょうか?
ひとことで言ってしまえば、健康と介護状態の《あいだ》ということになります。
(出典:公益社団法人東京都医師会資料より引用)
先ほどの「介護」が必要になるきっかけとして、気づいた時に始まる代表である認知症や高齢による衰弱などは、この「フレイル」状態の時に早めに気づくことで悪化を遅らせたり、回復させることができることがあります。
そのため、「フレイル」の兆候を早めにつかむことがとても大切なのです。
2)フレイルの兆候をどうやってつかむ?
普段から親と話をしていたり、会ったりしていたら何か変化があった時には気づくことができるかもしれません。
もし気が付いたとしても、それを言いにくくなってしまったり、言ったとしても受け入れてくれなかったりということもあるかもしれません。
そうなると、生活に支障が出るまで何も手を打つことができなくなってしまうこともあるかもしれません。
ちなみに先ほどの東京都医師会ではこんなチェックリストを配布しています。
(出典:公益社団法人東京都医師会資料より引用)
自分でチェックしてもらう、というのも一つの方法としてとても大切な方法でもありますが、《強制力》という意味では少し弱くなってしまうことは否めません。
3)離れて暮らすからこそ第三者の力を借りる
そんな時には、第三者の方の力、特に「センセイ」の力を借りてみるというのをおススメしています。
老いも若きも定期的に行くことが推奨される「歯科検診」です。

「オーラルフレイル」とは、2024年に日本老年医学会・日本老年歯科医学会・日本サルコペニア・フレイル学会が合同で発表したステートメントで、「『健口(けんこう)』と口の機能低下の間にある、可逆性のある状態」と定義されています。早すぎず遅すぎず、早めに気づけば戻せる段階だということです。
そして、この口の機能の衰えは身体の機能の衰えと連動していることが、研究でも明らかになってきました。東京大学の飯島勝矢先生らが地域在住の高齢者を追跡した「柏スタディ」では、オーラルフレイルに該当する方は、そうでない方に比べて、身体的フレイルの発症が約2.4倍、要介護認定が約2.4倍、総死亡のリスクが約2.1倍にのぼると報告されています。
おうちでできる「OF-5」セルフチェック
オーラルフレイルは、まずご自身やご家族でセルフチェックできます。3学会合同ステートメントで示された「OF-5(オーラルフレイル5項目チェック)」は、次の5つです。
- ①残存歯数の減少(自分の歯が少なくなってきた)
- ②咀嚼(噛む)困難感(硬いものが噛みにくい)
- ③嚥下(飲み込み)困難感(お茶や汁物でむせる)
- ④口腔乾燥感(口の中が乾く)
- ⑤滑舌の低下(舌が回りにくい・聞き返されることが増えた)
このうち2項目以上に当てはまると、オーラルフレイルの可能性があります。離れて暮らす親御さんと電話で話すときに、「最近むせたりしない?」とそっと聞いてみるだけでも、最初の気づきになります。
そのうえで、おくちの中の衰えを定期的な健診でチェックしておくことで、早めに手を打つことができるとともに、《センセイ》の言葉(権威効果)ということで真剣に聴いてくれる方も多くなる傾向も期待できます。
(出典:神奈川県歯科医師会)
<食・歯科口腔から見たフレイル化>
(出典:日本歯科医師会「オーラルフレイルについて」)
(オーラルフレイルの定義・OF-5:オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメント(2024年)/柏スタディの数値:公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」)
かみ合わせが悪くなったり、飲み込みがうまくできなくなってくると徐々に食べられるものが限られてしまうことで、低栄養などもあいまって身体の「フレイル」も進んでいってしまう恐れが高まってくるとも言われています。
なお、75歳以上の方には、各都道府県の後期高齢者医療広域連合が実施する「後期高齢者歯科健診」があり、2018年度から全国に広がりました。お住まいの自治体によって対象となる節目年齢などは異なりますが、こうした公的な健診を受診のきっかけにするのもおすすめです(詳しくはお住まいの広域連合へ)。日本歯科医師会が進める「8020運動」(80歳で20本以上の歯を保とう、という運動)の達成率も、令和4年の調査で約51.6%まで伸びてきています。お口の健康を保つことは、決して特別なことではなくなってきているのです。
(8020達成率:日本歯科医師会プレスリリース(令和4年度歯科疾患実態調査))
だからこそ、健康のバロメーターとして歯科検診で「フレイル」の兆候を見つけてもらえるように親と話しておく、ということは自らの身を守るという意味でもとても大切であるとともに、離れて暮らしていても今できる事のひとつなのではないでしょうか。
新しいカタチの介護研修
~仕事と介護の両立支援研修 けあとの遭遇®ワークショップ~





