【問題提起】人を「使い続ける」組織か、人と「続く」組織か
少子高齢化と人口減少が進む日本では、働く世代の人口構成や、仕事と介護を両立する人を取り巻く環境がこれからも変化していきます。
ここでいう「Next2025年問題」は、国が定めた制度名や公的な将来区分ではありません。2025年の先にある人口構造の変化を、and familyが企業の人材・組織という視点から考えるための問題提起として用いている言葉です。
私たちが問いかけたいのは、
「人を使い続ける組織であり続けるのか、
それとも、人とともに続く組織へと変われるのか」
ということです。
本稿では、2030年、2035年、2040年にかけて確認できる公的な人口推計や仕事と介護の推計を土台にします。そのうえで、企業にとって何を考える必要があるのかは、and familyの問題提起・解釈として分けて整理します。

これからの15年で、企業を取り巻く前提条件は少しずつ変わっていきます。
1. 2030年:働く世代の縮小と、仕事と介護の両立
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」では、15〜64歳人口の割合は2020年の59.5%から2030年には58.9%へ低下し、65歳以上人口の割合は30.8%になると推計されています。ここで示されているのは人口の年齢構成であり、就業者数や労働力人口そのものと同じではありません。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」
仕事と介護は、企業経営にも関わる課題へ
経済産業省は、仕事をしながら家族の介護を行う人が2030年時点で約318万人に上り、介護に起因する労働総量や生産性の減少などによる経済損失を約9兆円と試算しています。
出典:経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」
この推計から直接、「特定の属性の人ほど離職しやすい」とまでは言えません。一方で、仕事と介護の両立が、個人だけでなく企業の人材確保や生産性にも関わる課題として扱われていることは確認できます。
2. 2035年:人口構成の変化がさらに進む
同じ将来推計では、2035年の15〜64歳人口の割合は57.6%、65歳以上人口の割合は32.3%と見込まれています。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」
人口構成の変化は、採用できる人材の層、顧客の年齢構成、地域ごとの需要など、企業を取り巻く条件にも影響し得ます。ただし、その影響の大きさや現れ方は業種・地域・事業構造によって異なります。人口推計だけから、すべての企業の事業継続や需要が同じ方向へ変化すると断定することはできません。
3. 2040年:現役世代の比率低下が一段と進む
将来推計では、2040年の15〜64歳人口の割合は55.1%、65歳以上人口の割合は34.8%と見込まれています。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」
厚生労働省も、2040年を展望すると現役世代(担い手)が急減することを前提に、多様な就労・社会参加、健康寿命の延伸、医療・福祉サービスの生産性向上、社会保障の持続可能性の確保などを課題として整理しています。
出典:厚生労働省「2040年を展望した社会保障・働き方改革について」
2040年を「社会保障制度が限界を迎える年」と断定するのではなく、担い手の減少を前提に、制度や働き方をどう持続可能にしていくかが問われる時期として捉えるのが適切です。
4. 私たちの問題提起:人を「使う」企業から、人と「続く」企業へ
公的な人口推計が、直接「人が足りないのではなく、人が続かないことが本質だ」と結論づけているわけではありません。ここから先は、上記の変化を踏まえたand familyの問題提起です。
人口構造が変わり、仕事と介護を含む一人ひとりの事情が働き方に影響する中では、採用だけでなく、働き続けられる環境をどうつくるかも企業にとって重要になると私たちは考えています。
だからこそ、私たちは人を「使う」企業から、人と「続く」企業へという問いを置いています。
5. 企業は何から始めるべきか
企業は、次の問いに向き合う必要があります。
● 自社では、介護・家族・健康の話をしてもよい空気があるか
● 管理職は、人を“管理する存在”になっていないか
● 「辞めない組織」を、戦略として設計しているか
【まとめ】私たちの立場
仕事と介護の両立は、本人や家族だけのテーマではありません。経済産業省の推計が示すように、企業の人材確保や生産性にも影響し得る経営課題です。
一方で、2030年・2035年・2040年の人口推計だけから、個々の企業の将来を決めつけることはできません。
私たちは「Next2025年問題」という言葉を、単なる将来予測ではなく、いまのうちから人と組織のあり方を考えるための問いとして使っています。
人を使い続ける会社か。
人とともに続く会社か。
共存共栄、ともに生きる企業へ。
その転換を考え続けることが、Next2025年問題に対する、私たちの答えです。


