いま起きている「2025年問題」とは? ― そして2040年問題へ
意外と説明できない「2025年問題」とは?
ニュースなどでもたびたび取り上げられてきた「2025年問題」。
高齢化にまつわる問題という認識を持っている方は多いかもしれませんが、そもそもなぜ問題なのか?と聞かれるとはっきりと答えられない、という方もいらっしゃるかもしれません。
そして2025年は、すでに到来しました。団塊の世代が全員75歳以上となり、いま私たちはその只中にいます。
今回は、「これから起きること」ではなく「いま起きていること」として、「2025年問題」とはそもそも何だったのか、そしてその先に控える「2040年問題」までを、できるだけ簡単に整理してみたいと思います。

目 次
- 【問い】「2025年」に、いったい何が起きたのでしょうか?
- 【問い】団塊の世代が75歳以上になるのがなぜ問題なのでしょうか?
- 【問い】介護が必要になっても、国の制度があるから大丈夫なのではないでしょうか?
- 【問い】いざというときに国の制度に頼れず、サービスを利用しようとしても人手不足で利用できないということが起こるかもしれないということでしょうか?
問い)「2025年」に、いったい何が起きたのでしょうか?
年号で問題と騒がれたものとして「2000年問題」を思い出される方もいらっしゃるかもしれません。
あのときは、西暦が19xx年から2000年に切り替わるときに、コンピューターでは下2桁(xxの部分)で処理していたものが多く残っていたため、2000年に切り替わった瞬間に1900年と誤った処理をしてしまう恐れがあったというものでした。

「2025年問題」は、一言で言えば、〈団塊の世代(1947〜49年生まれ)が、2025年に全員75歳以上の後期高齢者となった〉ということです。
人口構造は、大きな変化が起きない限り見通しが立つものです。ですからこれは「2025年」という一瞬の問題ではありません。すでに到来し、そしてこの先も続いていくという性質のものなのです。

問い)団塊の世代が75歳以上になるのがなぜ問題なのでしょうか?
これは、高齢者の方々がなんらかの介護が必要となる節目の年齢が75歳前後だからです。
統計を紹介させていただきますと、75歳未満の方と75歳以上の方で、なんらかの介護が必要となった方(=要介護・要支援の認定を受けた方)が8倍に跳ね上がるというデータがあります。

その要因としては、いわゆる健康寿命と平均寿命の差があげられます。
男性・女性で若干の差はありますが、75歳前後の年齢で健康寿命が到来し、その後平均寿命をまっとうされるまで約10年間の期間があり、この期間はなんらかの介護が必要だといわれています。

問い)介護が必要になっても、国の制度があるから大丈夫なのではないでしょうか?
そのとおりです!とお伝えしたいのはやまやまなのですが、実はその制度は大きく変わってきており、このままでは利用したくても利用できない事態が起きてしまう恐れがでてきているのです。
超高齢化の進展に伴い、社会保障費は今後医療・介護・年金の分野を中心に大幅な増加が見込まれています。

そして介護における国の制度というのは、いわゆる介護保険制度という制度です。これは、元々の狙いである「介護は家族で行うもの」から「介護は社会で担うもの」という流れが再度「介護は家族で行うもの」に戻りかねない状況にあるのです。

ポイントだけお伝えしますと、
- 社会保障費の増大(医療・介護・年金)が国の財政圧迫を拡大させていくこと
- 介護は原則として「在宅」(≒家族や近隣の方)で行う流れがあること
- 「介護を社会で担うもの」として導入された介護保険制度の利用範囲が狭められていること
という状況にありますので、このままでは介護を抱えたときに、ご本人やご家族が十分な支援が受けられないという事態が起きかねないのです。
しかも、社会保障費を抑えるために、介護保険制度は次々に変更されてきています。
- 自己負担の割合の上昇
- サービスを利用できる対象者の縮小
- 介護保険でまかなわれるサービス内容や利用料の範囲
これらは介護サービスを利用する利用者の方向けの変更で、介護サービスを提供する介護事業者向けの変更も相次いで行われてきました。
その最も大きな影響のひとつとして、
- 介護報酬の改定
があげられます。
従来と同じサービスを提供していても、その対価として支払われる報酬が法改正の度にほぼ一貫して切り下げられてきたという経緯があります。
もちろん当初はサービス提供者を増やしていくという目的があったこともありますが、サービスを提供するために確保すべき人員や資格要件等も定められている中で、報酬の切り下げは介護事業者にとっては大きな影響を与えるもののひとつです。
つまり、介護保険制度における介護事業所の〈売上高〉は法律上上限が決まっているとともに、そこに必要な〈経費〉も下限が決まっている、ということになります。
そのため、可能な限り施設の稼働を上げなければならない一方で、働く方々への報酬を上げることが難しい構造になっているのです。
そのような状況が「介護の仕事は大変な割に給与が低い」というイメージにもつながっている一因にもなっています。
そのような介護職のイメージも重なり、介護人材の確保は非常に困難となっており、高齢者の増加に伴う介護ニーズの上昇ともあいまって、介護人材不足が深刻化しています。厚生労働省の推計では、2025年度に必要な介護職員は約243万人(2019年度比で約32万人増)とされ、その確保が大きな課題となっています。

そのような状況を解決するために、
- 外国人労働者の活用
- 女性・シニア労働者の活用
- 介護ロボットやICT機器の活用
といった取り組みがなされており、様々な企業が介護領域でのサービス開発を進めているという状況です。
問い)いざというときに「人手不足」でサービスを利用できないということが起こるかもしれないということでしょうか?
その可能性がある、と言わざるを得ません。
特に介護保険制度はいまも改定についての議論がなされています。
介護保険制度はおおむね3年に1度大きな改正が行われるのですが、直近の議論においても、
- 自己負担の割合の上昇
- サービスを利用できる対象者の縮小
- 介護保険でまかなわれるサービス内容や利用料の範囲
という先ほどの内容も含んだものが案としてあがっておりました。
このまま私たちが「2025年問題」、そしてそこにまつわる介護の問題についてみて見ぬふりをしてしまっていると、いざという時に自分たちの身を守ることができない状況になってしまっているかもしれないのです。
そのような事態が現実となり、頼りたくとも制度が利用できなかったり、利用できる介護サービスに空きがなかったりしたとき、「介護は家族が行うもの」となってしまい、働き盛りの世代が自ら介護をせざるを得ず、働きたくても働けない状況になってしまうかもしれません。
そうなると、介護されるご家族はいわゆる介護離職をしてしまうことになり、職場は仲間を失い、企業も人手不足でまわらなくなってしまう。
そして、国も税収が確保できなくなり、より一層社会保障費の削減をせざるを得ず・・・という負のスパイラルに陥ってしまうという可能性もあるのです。
そのような未来はだれにとっても望むものではありません。
まずはひとりひとりが「2025年問題」を他人事にしてしまうのではなく、いま自分自身に何ができるのか?というジブンゴトとして考えてほしい、アンテナを立てて情報収集やコミュニケーションをとっていくことを始めてほしい、と考えています。
2025年は通過点 ―― 次に控える「2040年問題」
そして忘れてはならないのが、2025年はゴールではなく通過点だということです。
次の節目が「2040年問題」です。今度は団塊ジュニア世代が高齢期に入り、高齢者人口は2043年に約3,953万人でピークを迎えると推計されています。介護需要はさらに高まり、2040年度には約280万人の介護職員が必要とされ、人材確保はいっそう大きな課題となります。
「2025年を乗り越えれば終わり」ではなく、その先も見据えて、いまから備えていく。そんな視点がますます大切になっています。
まとめ

「2025年問題」とは、団塊の世代が75歳以上になっていく過程で起きる
- なんらかの介護が必要になる方々が大幅に増加すること
- 社会保障費(医療・介護・年金)が大幅に増加すること
- 介護を担ってくださる介護人材の方々が大幅に足りなくなってしまうこと
その結果として、「介護を家族でせざるを得なくなってしまう」ということだとお伝えさせていただきました。
そして「2025年問題」は2025年という節目を指す言葉にすぎず、その後も状況は続き、むしろ深刻さを増していくものなのです。
「介護」は誰にでも起こり得るものです。
そしてそれがいつ起こるかはわかりません。
突然の場合にもパニックになることなく、そして前兆があるならば早めに手を打っていく。
ひとりひとりの心掛けが「2025年問題」という大きな問題を解決していく礎となっていく。
私たちはそう信じています。
「介護」のすそ野を広げる。

まずは関心を持つことから始まっていく。
本記事の内容が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
新しいカタチの介護研修
~仕事と介護の両立支援研修 けあとの遭遇®ワークショップ~

