• 働き方改革
  • 介護離職ゼロ
  • 仕事と介護の両立

いろいろな言葉が飛び交っていますが、家族の介護は誰もが通り得る道です。

いつ起こるかわからないので、何か準備をしておいた方がいい、というのはわかっている。。。

けれども何から手を付ければいいのかわからない

それは働いていらっしゃるご本人だけでなく、会社としてもサポートしたくてもなかなか手が届いていないもどかしさを感じているといます。

今回は、

  • 介護離職したらどうなるのか?
  • なぜ介護離職が起きてしまうのか?
  • 介護離職せず、仕事と介護を両立する方法はあるのか?

ということをお伝えできればと思っておりますので、ご一読いただければ幸いです。

目 次

  1. 介護離職の現状
  2. 介護離職するとどうなるのか?
  3. なぜ介護離職は起きるのか?
  4. 介護離職しない、仕事と介護を両立する方法とは?
  5. 両立するために周囲の方ができることとは?

1)介護離職の現状

〇働く介護者と介護離職

 「介護離職」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

  • ひとつは家族の「介護」を理由とした退職
  • もうひとつは「介護職」の方の離職

 今回は前者の「介護」を理由とした退職についてお伝えいたします。

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本当に介護離職なんてする人はいるのだろうか?
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自分の会社には介護をしている人なんて聞いたことがないので、「介護離職」するという人のイメージがわかない

 そんな声も聞かれることもありますが、

  • 年間約10万人の方が介護離職
  • 介護をしながら仕事をされている方は約5%(約350万人以上)

 ということが統計として確認できます。

   なお、退職される際に「介護」ということを伝えている方は一部の方に過ぎず、実際には〈隠れ介護離職〉の方がいるといわれていますので、現在においても仕事と介護の問題は氷山の一角と言えるのではないでしょうか。

〇介護離職者される方々の特徴

 介護離職されている方の割合として、

  • 女性の方
  • 非正規雇用の方

 が多い傾向にありますが、近年男性の離職者が増えてきている傾向にあるという特徴もあります。

〇介護離職を決断するまでの期間

 「介護離職」して、介護に専念しようという決断をされた方々の約4割の方々が、介護が始まってから約半年の間に「介護離職」をする決断をされているという実態もあります。

この期間を長いとみるか、短いとみるかは様々な見方があるかとは思いますが、介護が始まってから約半年という期間は、様々な決断を求められ続ける期間でもあり、事前準備を何もしていなかった場合には特に手続き等々に振り回されてしまい、そのストレスも重なり通常の状況であれば判断しないような判断をしてしまう、いわゆる”判断疲れ”に伴う決断をしてしまう可能性のある期間でもあるのです。

そして、「介護離職」をしてしまった方々は、本当は仕事を続けたかったという方の方が多い、ということも実態としてあり、「介護離職」という決断が後々になっても後悔として残ってしまうものとなりかねないのです。

2)介護離職するとどうなるのか?

「介護離職」をする方は、「介護」に専念することで少しでも楽になれるのではないか、という希望を持っていらっしゃる方もいますが、実際はより苦しくなってしまうことの方が多いというのが実態です。

こちらの調査によれば、経済面の負担はもちろんのこと、精神面や肉体面でも半数以上の方々が〈負担が増した〉と回答していらっしゃることからも、「介護離職」は介護負担を軽減する選択肢としては望ましくないもの、と言えそうです。

つまり、「介護離職」をする前に、どうやったら仕事と介護を両立することができるか?ということを独りで抱え込まず、周りの方、特に職場や会社の支援を受けることを相談してみてからでも遅くはないのです。

3)なぜ介護離職は起きるのか?

現在は、育児・介護休業法という法律に基づき、9割以上の企業はなんらかの制度を整備しています。

「介護離職」という大きな決断をされた方々が、なぜ離職という決断に至ったかという理由として主に2つあるといわれています。

  • 制度がない・知らないこと
  • 職場で相談できる雰囲気がない、相談していいかわからないこと

  それにもかかわらず、社員はそれを知らなかったり、それを使うことができなかったりすることが離職につながってしまっているという一面が垣間見えるわけです。

4)介護離職しない、仕事と介護を両立する方法とは?

では、介護離職しないためには、仕事と介護を両立するためにはどうすればいいのでしょうか?

こちらのグラフをご覧いただければお気づきになるかと思いますが、仕事と介護の両立をされている方介護離職された方で大きく異なる点として、日常的に「身体介護」や家事等の「生活支援」を担っているかどうかというところがあげられますので、日常的に介護を担う、特に「身体介護」をあなた自身が行わないでよい体制をつくることを意識してみてはいかがでしょうか。

そのためには、会社の制度を利用すること介護サービスを利用することがまず必要な〈土台〉となります。

〇会社の制度を利用する

 □まずは会社の制度を知る

  介護が始まるかもしれない、という時点で会社の制度を調べてみてください。

  就業規則や育児・介護休業規程のような規則が何らかの形で確認できるはずです。

  わからなければ、人事や総務など人事制度などを所管する部署の方に聞いてみましょう。

   〈まずはどんな支援があるのか?〉

  それを知ることからです。

  そしてそれをぜひ活用するためにも、人事の担当者や職場の上司・同僚に話をしておきましょう。

  仕事と介護を両立するためには、次の項でご紹介する介護サービスを利用することも非常に大切になってきますが、それを利用するためには手続き等々で休暇を取っていただくことが望ましい場面もありますので、動きやすいように早めに相談しておくことをおススメします。

  また、不安を独りで抱え込んでいることは思っている以上にストレスになり、周りの方からしても理由がわからず、急に休みを取るなどが続くと余計な憶測を招くなどお互いにとって好ましい状況とはなりませんので、あなたのためだけでなく、周りの方のためにも早めにお話しておいた方がよい可能性もある、ということを意識していただければと思います。

  なお、「育児・介護休業法」という法律の名称にもなっていますが、育児と介護は似ているようで全く異なるということを知っておいてください。

  こちらの表でもお分かりいただけるように、育児と介護で置かれている状況やサービスの仕組み、そして期間などの見通しなどまったく異なるものなのです。

 □介護休暇・介護休業・介護休業給付金

  会社が用意している制度としては、法律上定めることが決められているものや会社が選択したもの、独自に策定したものなどがあります。

  その中でも主なものを3つご紹介します。(内容は法律上の定めに基づきます)

 ●介護休暇

 「介護休暇」とは、要介護状態(*1)にある対象家族(*2)を介護するために休暇を取得できる制度で、対象家族1人につき年5日間(2人の場合は10日間)の休暇を1日または半日単位で取得することができます。

ポイント

  • 介護休暇は「無給」(年休の残り数を勘案して利用も検討)
  • 介護休暇は「事前の手続き不要」(介護”休業”は事前に手続きが必要)

 ●介護休業

「介護休業」とは、要介護状態となった対象家族の介護等のために、一定期間の休業を取得することができる制度で、対象家族1人につき通算で93日間を最大3回まで分割して取得することができます。

ポイント

  • 介護休業は「無給」
  • 介護休業は「事前の手続き必要」(介護休業開始日の2週間前までに申し出)
  • 「介護」をするためではなく、「介護の体制づくり」のために活用する

 ●介護休業給付金

介護休業中は原則無給となりますが、その期間中は対象となる給与の67%雇用保険から支払われます。

ポイント

  • 介護休業給付金は「93日を限度に67%」給付される
  • 介護休業給付金が給付されるのは、介護休業が終了した後

*1)要介護状態とは?

育児・介護休業法に定める「要介護状態」とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことをいい、要介護認定を受けていなくても、介護休業の対象となり得ます

「常時介護を必要とする状態」とは、以下の(1)又は(2)のいずれかに該当する場合であること。
(1)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。
(2)状態①~⑫のうち、2が2つ以上又は3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。

要介護状態とは?

*2)対象家族とは?

対象家族の範囲は、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます。)、父母及び子(これらの者に準ずる者として、祖父母、兄弟姉妹及び孫を含みます。)、配偶者の父母です

対象家族とは?

 〇介護サービスを利用する

  ●介護保険制度とは?

   介護保険制度という言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。

   医療保険と似た仕組みで、40歳以上の方々が保険料を納め、サービスを利用する際には一部負担をして利用ができる社会保険制度のひとつです。

   ちなみに介護保険制度ができたのは2000年で、ようやく20年が経ったところです。

   それ以前は国が必要と判断した場合に、施設などを指定する”措置制度”と言われる制度で、利用者が利用するサービスを選ぶことはできず、施設を利用することが世間的にあまり好ましくないという風潮も一部あった時代がありました。

   その時のイメージを持っている方が、介護サービスを利用することに対して抵抗感を持っている方がいるという声もあるというのも実態です。

   介護保険制度は、高齢化が進む日本において、「介護は家族で行うもの」から「介護は社会で担うもの」への転換が必要だという考え方から導入された制度です。

   つまり、介護保険制度を利用すること、介護サービスを利用することは「介護を社会で担うもの」という考え方に沿ったものですので、利用してもよい、利用してほしいサービスなのです。

 □要介護認定を受ける

  介護保険制度に基づく介護サービスを利用するためには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。

  介護保険を利用しない介護サービスであれば、要介護認定なしで利用できるものもありますが、金銭的な負担は重くなってしまいますので、介護保険制度でカバーできるものは「要介護認定」を受けてから利用していただくことが望ましいです。

  なお、「要介護認定」を受けるために2つ覚えていただきたいポイントがあり、

  • 介護が必要な方がお住まいの地区を管轄する「地域包括支援センター」に相談すること
  • 要介護認定の結果がでるまで1か月程度かかること

  ということを知っておいていただき、介護が必要になるきっかけにもよりますが、たとえば入院中に「地域包括支援センター」に相談に行っておき、病院にいるうちに要介護認定を受けておくことで、自宅に戻った際には介護サービスの利用を開始できるようにしておく、なども可能になったりもしますので、まずは「地域包括支援センター」の場所だけでもチェックしておくことをおススメします。

【補足】「地域包括支援センター」の名称は地域ごとに異なる場合があるので注意してください

例)高齢者あんしんセンター(東京都北区・千代田区)、長寿サポートセンター(東京都江東区)、熟年相談室(東京都江戸川区)など

 □介護サービスの種類

  介護サービスには様々なサービスがありますが、大きく分けて3つのサービスがあります。

  • 通所系サービス
  • 訪問系サービス
  • 施設系サービス

   ●通所系サービス

代表的なサービス:デイサービス・デイケア、ショートステイ

介護が必要な方が、介護サービスを提供する施設に通い、食事や入浴、リハビリ等の生活支援・身体介護サービスを受けるもの

   ●訪問系サービス

代表的なサービス:ホームヘルパー(訪問介護)

介護が必要な方の自宅等に、介護サービスを提供する事業者がホームヘルパーなどを派遣し、食事や入浴、家事等の生活支援・身体介護サービスを受けるもの

   ●施設系サービス

代表的なサービス:特別養護老人ホーム、グループホーム

介護が必要な方が、介護サービスを提供する施設に入居し、食事や入浴、リハビリ等の生活支援・身体介護サービスを受けるもの

  これら以外にも、杖や車いす、介護用のベッドなどの福祉用具の購入支援・レンタル費用の補助、自宅のリフォーム費用の補助なども介護保険制度の対象となっているものもあります。

  市区町村などお住まいの地域によって受けられるサービスに違いがありますので、介護が必要な方のお住まいの地域で確認してみてください。

 □担当のケアマネージャーとプランを作成する

要介護認定を受けたらどんな介護サービスを利用するかについて、「ケアマネージャー」という方とプランを作成していくことになります。

その際のポイントとしては、2点

  • 本人の希望はもちろんのこと、家族の要望も含めて伝えておくこと
  • ケアマネージャーの方を変更することも可能であること

  ということはぜひ知っておいてください。

  介護が必要な方が安心して生活ができることはもちろんですが、ご家族の方が倒れてしまってはなんのための介護サービスなのか?ということにもなりかねませんので、ぜひ希望は伝えてください

場合によってはセカンドオピニオンとしてほかのケアマネージャーに相談してみたり、企業が設置している介護相談窓口保険に付帯している介護相談窓口などに相談してみたりしてみてください。

5)両立するために周囲の方ができることとは?

   家族の「介護」を抱えた方は大きな不安を抱えていらっしゃいます。

  • 元気だった家族がそうではなくなってしまったという精神的ショック
  • 職場など周囲に迷惑をかけてしまうかもしれないという後ろめたさ
  • 今後どうなるのかわからない先行き不透明感

   そんな数々の不安を抱えていらっしゃる方は、気持ちに余裕がなくなってしまっているかもしれません。

   周りの方に余計な負担をかけたくないと思い、大変な状況にあることを話せていないかもしれません。

   仕事に手が付かず、普段ならやらないようなミスをしてしまうかもしれません。

   励ましやアドバイスが効果的な場面もあるかもしれませんが、ちょっとした声掛けやただただ話を聞く、そんな場づくりをすることで、〈支えられている〉と感じて、気持ちが和らぐこともあります

   周りの方にとっても、なんとなく”何か”があることに勘付いてしまうものです。

   そのようなときにはれ物のように扱うのではなくちょっと一歩踏み出して声をかけてみる

   そのちょっとしたことが、突然の離脱や離職によって大切な仲間を失うようなことを回避できたならばいかがでしょうか?

   〈明日は我が身〉かもしれませんので、ぜひお互いさまの気持ちで向き合っていただければと思います。