「働き方改革」ってよく耳にしますが、一体何を改革するのでしょうか?

会社の施策やニュースを聞いていると、

 ●残業削減
 ●年休消化

といういわば「休み方改革」って揶揄されているのもわかるようなイメージしか湧かない。

ただでさえ限られた人数で業務で忙しいのに、さらに残業減らしたり、休みを増やしたりしたらなおさら仕事がまわらなくなってしまうのではないだろうか?

ましてや業績が落ち込んで、会社が立ち行かなくなってしまったら元も子もないのではないか?

「働き方改革」を行うことで会社としても国としても何かメリットがあるからこそ取り組んでいるはずだけれども、正直なところ難しくてよくわからない。

そんな「働き方改革」をわかりやすく解説させていただきます!

目 次

1.「働き方改革」って何のため?
2.「働き方改革」って誰のため?
3.「働き方改革」はどのように取り組むべきか?
4.まとめ


1.「働き方改革」って何のため?

  「働き方改革」の目的を一言で表現いたしますと、

   《労働力不足を解決するため》

  です。

  少子高齢化が進む中、日本では、いまから20年以上前の1995年から労働人口(生産年齢人口)の減少が始まっており、総人口も2008年から減少に転じているのです。

出典:総務省「情報通信白書平成29年版」

  人口が減少していく中で、経済を持続的に成長させていくためには、

   ●人材の確保
   ●労働生産性の向上

  が不可欠なのです。

  人材を確保するための施策としては、

   ●女性や若者、高齢者の活躍推進
   ●外国人労働者の活躍推進
   ●望まぬ離職の防止

  といった施策が主なものとして挙げられています。

  そして、労働生産性の向上としては、

   ●多様な働き方の支援や環境づくり
   ●転職・再就職支援や労働市場の柔軟化
   ●人材育成・教育制度の充実

  といった施策が主なものとして挙げられています。

  以上の取り組みを通じて、

  という循環をまわしていこう、というのが働き方改革の根っことなっているのです。

2.「働き方改革」って誰のため?

  「働き方改革」が誰のために必要なのかを一言で表現いたしますと、

   《すべての人のため》

  です。

  少子高齢化に伴う労働力の減少という現状を放置したままにすると、

としては、「経済の衰退」を余儀なくされる。

企業

としては、「経済の衰退」を余儀なくされる。

働き手

としては、「働く場所」が無くなってしまうことによる経済的な危機や社会とのつながりを失うことになる。

  という結果につながりかねないからです。

  2025年問題としても話題に挙げられることもある超高齢化が進む環境とは、ざっくり表現するならば収入が減少支出が増える環境です。

  そのような状況で、「働き方改革」によって実現しようとしている労働力不足の解決なくしては、国として衰退していくだけでなく、日本で生活している私たちにとっても非常に苦しい環境となってしまう恐れがあるのです。

  そのような状況になることを防ぐためにも、いま私たちが「働き方」を見直していくこと、そしてそれを企業や国が支援していくことが必要な時期に来ているといえるのではないでしょうか?

3.「働き方改革」はどのように取り組むべきか?

  「働き方改革」の取り組みは、政府の「一億総活躍社会」を実現するために策定された「ニッポン一億総活躍プラン」の3つの目標を達成するための柱となる施策として誕生しました。

   1)夢をつむぐ子育て支援(希望出生率 1.8)
   2)安心につながる社会保障(介護離職ゼロ)
   3)希望を生み出す強い経済(戦後最大の名目GDP600兆円)

  これらすべての目標に密接に関連した施策に取り組んでいくために2018年に「働き方改革関連法」が成立し、翌年から施行されてきたのが「働き方改革」の取り組みです。

  繰り返しになりますが、「働き方改革」が何のために行われているかと言えば持続的な経済成長のために、

   ●人材の確保
   ●労働生産性の向上

  という両輪を回していくこととお伝えしました。

  そのために、以下の3つを実現することを目指しています。

   ●長時間労働の是正及び有給休暇の取得率向上
   ●多様で柔軟な働き方の推進
   ●雇用形態や勤務形態等によらない公正な処遇

  これらの取り組みの中でも、メディアなどでも取り上げられることが多く、実際に企業の中でも影響が大きいものとして、

《長時間労働の是正及び有給休暇の取得率向上》

  が挙げられるのではないでしょうか?

  長時間労働や有給を活用した休暇等がとりにくい環境であるがために、いわゆる過労死が起きてしまったり、身体的・精神的な疾患を抱えてしまうことにより、仕事に従事することが困難となってしまうことを防止する取り組みについて《罰則》規定が設けられたこともあり、各企業では優先順位を上げて取り組んでいる状況ではないでしょうか。

  業務時間の減少だけであれば、仕事量も減ってしまうことで業績への負の影響が出てしまう恐れがあります。

  だからこそ、残業削減や有給取得率の向上による労働時間の削減に加えて、生産性の向上は合わせ技として取り組まなければならないものとなっております。

  生産性の向上のために取り組まれている施策として、Covid-19の流行に伴い、半ば強制的に企業に浸透した「テレワーク」もまたそのひとつです。

  テレワークは、働く時間や働く場所の自由度が高まることで、働き方の柔軟性を向上させることから、ご自身や家族の治療や子育て、介護などのライフイベント・ライフステージに伴う多様な働き方ニーズにも応えることができるようになることから普及が急がれているものでもあります。

  そして、両輪としての「人材確保」においても、女性や高齢者の活躍推進のためには、柔軟な働き方を支援する体制づくり職場づくりが必須となるとともに、雇用形態勤務形態によって待遇に差が出ることが無い公正な処遇を行える評価制度等も合わせて必要となります。

  なお、「働き方改革」の実行計画として次の9つのテーマが掲げられています。

項目1

非正規雇用の処遇改善

項目

賃金引上げと労働生産性向上

項目

長時間労働の是正

項目

柔軟な働き方がしやすい環境整備

項目

病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進

項目

外国人材の受入れ

項目

女性・若者が活躍しやすい環境整備

項目

雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実

項目

高齢者の就業促進

  長時間労働の是正有給取得率の向上といった目につきやすい取り組みはほんの一部に過ぎず、より働きやすい職場環境づくりを調えていくことで、人材を確保していく、働き続けられる人のすそ野を広げていくことが今後より一層企業として取り組んでいく必要がある。

  このような取り組みとしての「働き方改革」これまでこれからをまとめさせていただきますと、

これまで

主に現在の働き方そのものや処遇を見直す時期

これから

今後のライフステージの変化に応じた働き方に応えていける環境づくりの時期

  これが「働き方改革」の今後の方向性ではないでしょうか?

4.まとめ

  「働き方改革」というものを調べていくと非常に情報量も多く、わかりにくいという声を耳にすることも多いテーマです。

  そんな「働き方改革」を少しでもわかりやすくお伝えするために、内容を絞った形で要点をお伝えさせていただきましたがいかがでしたでしょうか?

  「働き方改革」とは、経済の持続的成長を実現するため労働力不足を解決することを目的とした取り組みのことであり、  その実現のために、《人材の確保 × 労働生産性の向上》という両輪を回していくための施策を打ち出している国をあげての政策です。そして、

これまで

主に現在の働き方そのものや処遇を見直す時期

これから

今後のライフステージの変化に応じた働き方に応えていける環境づくりの時期

  という次のステージに向けた取り組みに軸足が移っていく時期にある、ということをお伝えさせていただきました。

  「働き方改革」国や企業だけでなく、私たちひとりひとりにとって無関係なものではないからこそ、その目指しているモノを共有しておく必要があるのではないか、と感じたこともありこのような記事を書かせていただきました。

  少しでも皆さんにとって参考になる情報となれば幸いです。

参考資料

一億総活躍社会の実現
(首相官邸)

「働き方改革」の実現に向けて
(厚生労働省)

「働き方改革」の実現に向けて(厚生労働省)


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