働き方改革とは?仕事と介護の両立までわかりやすく解説【2026年最新】
「働き方改革」ってよく耳にしますが、一体何を改革するのでしょうか?
会社の施策やニュースを聞いていると、
●残業削減
●年休消化
といういわば「休み方改革」のようなイメージだけが先に立つこともあります。
ただでさえ限られた人数で業務をしているのに、残業を減らしたり、休みを増やしたりしたら仕事がまわらなくなるのではないか。業績にも影響するのではないか。そんな疑問を持つ方もいるかもしれません。
そこで、「働き方改革」が何を目指す政策なのか、現在の制度と仕事と介護の両立まで、一次資料に沿って整理します。
目 次
1.「働き方改革」って何のため?
2.「働き方改革」って誰のため?
3.「働き方改革」はどのように取り組むべきか?
4.まとめ
1.「働き方改革」って何のため?
厚生労働省は、働き方改革の背景として、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少と、育児や介護との両立など働く方のニーズの多様化を挙げています。そのうえで、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会を広げ、働く方が個々の事情に応じて多様な働き方を選べる社会を実現することを目指す、と説明しています。
つまり、働き方改革を「労働力不足を解決するためだけの政策」と一言で定義するのは狭すぎます。人手不足への対応や生産性向上は重要な背景・課題ですが、働く人の事情に応じた選択肢と、意欲・能力を発揮できる環境を整えることも政策の中心にあります。
人口の動きを見ると、15〜64歳の生産年齢人口は1995年にピークとなり、その後は減少傾向が続いています。これは「労働力人口」そのものと同じ概念ではありません。また、総人口は人口推計で2008年をピークに減少局面へ入っています。

出典:総務省統計局「1995年から減少の続く生産年齢人口」
出典:総務省統計局「人口及び人口増減率の推移」
人口構造の変化に対応しながら、就業機会を広げ、生産性を高め、多様な人が働き続けられる環境を整えていく。こうした複数の課題を同時に扱うのが、働き方改革です。

この図は、人材の確保と生産性向上を循環させていくという、この記事としての整理を表したものです。国の制度をこの図だけで定義するものではありません。
2.「働き方改革」って誰のため?
働き方改革は、企業側の生産性だけを目的とするものでも、働く人の休暇だけを目的とするものでもありません。
厚生労働省の説明では、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにするとともに、就業機会の拡大や、意欲・能力を発揮できる環境づくりが重要な課題とされています。

国・社会にとっては、人口構造が変わる中でも持続的な労働供給や経済・社会の基盤をどう支えるかという課題があります。
企業にとっては、人材の確保、生産性、働き続けられる職場環境をどう両立するかが課題になります。


働く人にとっては、育児・介護・治療など個々の事情があっても、働き方の選択肢を持ち、能力を発揮し続けられる環境が重要になります。
少子高齢化が、国・企業・個人にどの程度の影響を与えるかは一律ではありません。したがって、人口減少だけから「国や企業は必ず経済的に衰退する」「働く場所がなくなる」と断定することはできません。

大切なのは、人口構造や働く人のニーズが変化する中で、どのような働き方なら人が参加し続け、能力を発揮できるのかを考えることです。
3.「働き方改革」はどのように取り組むべきか?
働き方改革は、2017年に決定された「働き方改革実行計画」で9つの分野について具体的な方向性が示され、その後、2018年6月29日に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立、同年7月6日に公布され、2019年4月から順次施行されました。
現在押さえておきたい主な制度
時間外労働の上限規制
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があり労使が合意する場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内、月100時間未満などの上限があります。一般の大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から適用され、適用猶予があった一部の業種・職種にも2024年4月から上限規制が適用されています。
年5日の年次有給休暇の確実な取得
法定の年次有給休暇が10日以上付与される労働者について、使用者は付与日から1年以内に5日を取得させる必要があります。労働者本人の請求や計画年休で取得した日数は、その5日から控除されます。
雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
正社員とパートタイム・有期雇用労働者などとの間で、不合理な待遇差を設けることは禁止されています。なお、2026年4月に関連する省令・ガイドラインの改正が公布され、2026年10月1日から施行・適用される改正事項もあります。
これらは働き方改革の一部です。長時間労働の是正だけを働き方改革の全体像と捉えるのではなく、多様で柔軟な働き方、公正な待遇、両立支援などを含めて考える必要があります。
労働時間を減らせば自動的に仕事量や業績が減るとも、逆に生産性が必ず上がるとも一律には言えません。業務設計や人員配置、デジタル化、マネジメントなどと合わせて、それぞれの職場で検討する課題です。
テレワークも、柔軟な働き方を実現するための選択肢の一つとして厚生労働省が位置づけています。業務や職種によって向き不向きがあるため、すべての職場で同じ効果を持つ制度ではありません。

2017年の「働き方改革実行計画」で示された9分野
以下は、2017年の実行計画で整理された9分野です。現在の法的義務を9項目に限定する一覧ではなく、働き方改革の政策領域を示した歴史的な整理として掲載します。

項目1
非正規雇用の処遇改善

項目2
賃金引上げと労働生産性向上

項目3
長時間労働の是正

項目4
柔軟な働き方がしやすい環境整備

項目5
病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進

項目6
外国人材の受入れ

項目7
女性・若者が活躍しやすい環境整備

項目8
雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実

項目9
高齢者の就業促進
働き方改革と「仕事と介護の両立」
2017年の9分野のうち、項目5には「病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立」が含まれています。仕事と介護の両立は、働き方改革の政策領域の一つとして位置づけられてきました。
さらに、2025年4月1日施行の改正育児・介護休業法により、介護離職防止のため、事業主には新たな対応義務が加わりました。
介護休業・介護両立支援制度等を利用しやすい雇用環境を整えるため、事業主は次のいずれか一つ以上の措置を講じる必要があります。
●介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
●相談体制の整備(相談窓口の設置)
●自社の労働者の制度利用事例の収集・提供
●制度利用促進に関する方針の周知
また、介護に直面した旨を申し出た労働者に対する制度等の個別周知と利用意向の確認、介護に直面する前の早い段階での情報提供なども義務化されています。
出典:厚生労働省「介護休業制度特設サイト 法改正のポイント」
制度を整備することと、実際に従業員が相談しやすい職場であることは、同じではありません。相談できる職場づくりは、制度周知、相談体制、管理職の対応、日常のコミュニケーションなどを組み合わせて進める必要があります。
私たちの体験型研修「けあとの遭遇®」は、仕事と介護について対話するきっかけづくりを支援するワークショップです。研修を実施するだけで法令上の義務をすべて満たすものではありません。各事業主は、自社に必要な法定措置を確認して対応する必要があります。
ここからは、公的制度の区分ではなく、and familyとして働き方の変化を捉えるための整理です。

これまで
主に現在の働き方そのものや処遇を見直すことに注目が集まった時期
これから
ライフステージの変化に応じた働き方に応えていける環境づくりも、より重要になる時期

2025年の育児・介護休業法改正は、仕事と介護を含む個々の事情に応じた働き方を支える具体的な制度整備の一つです。ただし、国の働き方改革が公式に「これまで」から「これから」へ二段階で移行した、という制度区分があるわけではありません。
4.まとめ
厚生労働省が示す働き方改革の目標は、働く方の個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることです。
その背景には、生産年齢人口の減少、働く方のニーズの多様化、生産性向上、就業機会の拡大など、複数の課題があります。
時間外労働の上限規制、年5日の年次有給休暇の確実な取得、公正な待遇の確保などの制度に加え、2025年4月からは仕事と介護の両立に関する事業主の義務も強化されています。
一方、ここから先は私たちなりの整理です。

これまで
主に現在の働き方そのものや処遇を見直すことに注目が集まった時期
これから
ライフステージの変化に応じた働き方に応えていける環境づくりも、より重要になる時期

という視点で、仕事と介護を含めた働き続けられる職場づくりを考えていくことが大切だと、and familyは考えています。

少しでも皆さんにとって参考になる情報となれば幸いです。
参考資料
- 厚生労働省「『働き方改革』の実現に向けて」
- 厚生労働省「時間外労働の上限規制」
- 厚生労働省「年次有給休暇の時季指定」
- 厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」
- 厚生労働省「介護休業制度特設サイト 法改正のポイント」
新しいカタチの介護研修
~仕事と介護の両立支援研修 けあとの遭遇®ワークショップ~

